| 1988年、世界的にも有名なフランスの「ル・ピディフ野外劇」から火種をもらい、国の特別遺跡「五稜郭」を舞台に、ダイナミックな函館地方の歴史を題材とする「NPO市民創作野外劇」の会の公演も今年で18年目となった。この間、多数の市民ボランティアが参加する国内最大規模の市民創作野外劇に成長し、数々の受賞とともに「歴史とロマンの街・函館」にふさわしい地域文化活動と新しい観光資源として全国的にも高く評価されている。
提唱者は、現在、全国にも有名な高齢者施設「旭ヶ岡の家」の理事長フィリップ・グロード神父である。
五稜郭商店街活性化へのアドバイスを求められた際、「函館でも五稜郭のすばらしいロケーションを活かし、函館地方のダイナミックな歴史をテーマに野外劇を始めてはどうか。
私の故郷では、古い古城と前庭の池をつかってバンディの歴史を主題にした野外劇をスタートさせ、地域おこしに大いに貢献している。直接活性化策に結びつかなかったとしても、五稜郭地区のイメージアップには役に立つはずだ」と。
この提唱に商店街関係者をはじめ市民有志がル・ピディフ野外劇を視察して刺激を受け、2年後の1988年夏、第一回目の市民創作野外劇が10回公演としてスタートしたのである。
この野外劇の特色は、五稜郭の優れたロケーションを舞台として活用できること、また、題材が忠実に基づいており、観光客にも内容を容易に理解してもらえることである。
アイヌの時代に始まり、戦争や大火などの度重なる困難に見舞われながらも、それを乗り越えてきた函館人のたくましさと函館の発展にも力を尽くした高田屋嘉兵衛の活躍、ペリー来航による開港と国際文化の波、武田斐三郎による西洋式築城五稜郭の完成、蝦夷共和国を夢みて戦った榎本武揚や土方歳三らの命かけて信念を貫こうとした姿や歌人石川啄木などの函館の街を精一杯生き抜いた人々の物語が10場面で繰り広げられる。
上演には、五稜郭の土手と土舞台、それに堀と堀の中につくられた特設舞台、堀を隔てた観客席(1,500席)前の5ヶ所を主な舞台として使用する。
この舞台は、土手から観客席からまで奥行き100m余り、幅80mと壮大であり、このスケールを活用して、数頭の馬が各場面を盛り上げ、箱館戦争では5門の大砲が火を噴き、昨年から新政府軍軍艦甲鉄も参戦している。堀には高田屋嘉兵衛率いる多数の北前船から屋形船、北洋漁業で活躍した漁船が浮かび走るのである。
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| フィリップ・グロード神父 |
毎回出演者は500人を越える市民が参加しており、出演者はおよそ400人、演出スタッフ、衣装、受付などの裏方あわせて100人ほどである。衣装は、1500着用意され、出演者はおおむね3役こなす。
これら各スタッフを含めて出演者は事務局の一部パートを除き、すべてボランティアであり、これが最大の特徴である。
こうしたボランティア学習実験実践の場として高く評価されている。
第15回公演(平成14年)
- 「ル・ピディフ野外劇」から交流団が派遣される。
- 全国11団体が参加しての、全国初の「野外劇サミット」を開催。
第16回公演(平成15年)
- 「函館野外劇」から「日本の野外劇へ」
「文化都市函館のイメージアップに寄与すること」「歴史とロマンの街・函館の新しい観光資源を目指すこと」えをコンセプトとし、演出部分を大幅にリニューアル。さらなる夏の新しい観光資源として全国に発信。
(劇団四季出身のプロ集団の協力を得てリニューアル)
- 知名度のアップ:2度のNHK全国放送、共同・時事通信に全国配信。
- 土方奮戦シーン、開港シーン、オープニング・フィナーレシーンが特に高い評価。
- テーマソング「星のまち Hakodate」が新井満氏により誕生。
- 劇の進行役は長老・コロポックル・弁士が担当、他主な配役をオーディションで選ぶ。
第17回公演(平成16年)
- JTBによる公演買上、クラブツーリズムによる全国からの集客やパネリストとして全国規模のフォーラムに参加、観光ガイドブックや旅行雑誌の掲載記事により更に知名度を高め、観客動員一万人を突破。
第18回公演(平成17年)
- 奈良文化財研究所、福島大学、地域文化の同時代歴史研究が函館野外劇について調査研究を開始。
- 東京の大手企業が調査団を派遣。
- ケーブルテレビの全国ネット放送。
- STVテレビによる広告放送。
主な受賞歴
- 1987年・・・ル・ピディフ(仏)野外劇財団と姉妹提携
- 1991年・・・地域づくり表彰(国土長官賞)
- 1992年・・・笹川日仏財団交際交助成採択団体
- 1993年・・・北海道地域づくり優良事例知事賞
- 1993年・・・サントリー地域文化賞
- 1997年・・・北海道ふるさと大賞'97
- 1997年・・・読売新聞社'97北の暮らし大賞
- 2006年・・・国土交通省・平成18年度「手づくり郷土(ふるさと)賞」受賞
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